見付けて下さい

一人の青年がお寺の門の前で右往左往していました。

お墓参りに来た 檀家さんが住職に告げ 住職が門前まで出て行くと 青年は思い詰めた顔をして住職の顔を見ていました。

 

私は本堂で仏様と向き合っていました。

 

甲高い鈴の音が三回程 鳴った後 住職が青年を連れ本堂へ入って来ました。

 

私は 座布団を三枚出しました。

青年は 一瞬私を見て そして 微笑みました。

 

青年 「あなたは…分かるんですね?」

 

私は黙って頷きました。

 

青年は 人を探して欲しいと言いました。

見付けて下さいと…。

 

青年には 二人の男女が憑いてました。

その男性の方と青年は親友だった様です。

 

三人は 私が差し出した座布団の上に座り 青年の横で 話を聞いている様でした。

女性の方は終始泣いていました。

 

青年は 言います。

 

「今 あなたが見ているのは 駆け落ちをした 僕の

 

親友とその彼女です。親友の家は 代々 病院を引

 

き継ぎ営んで来たので 当然 恋愛をしてでの結婚

 

は許されませんでした。彼女は短大を卒業したば

 

かりで 彼女の夢は保育士になる事だったので 親

 

友は何とか 両親に頼もうとしたのですが…彼女

 

との結婚どころか付き合う事さえも反対され…

 

親友には ある大学病院のご令嬢との結婚話をさ

 

れて…二人は 駆け落ちをしてこの街を離れまし

 

た。僕に……何の知らせも無く…。 僕が親友の駆け

 

落ちを知ったのは 親友の家から連絡が来て 「 息

 

子を探してるが来てないか?」 といわれて 駆け

 

落ちをしたんだと分かったんです。 それが 2ヶ

 

月前の話です。 それから暫くして 僕の前に二人

 

が現れる様になりました。 何を聞いても返事を

 

してくれませんし ただ 二人は僕の傍に居るだけ

 

で 何も喋ってはくれない。だから !! 誰か居ない

 

かと探してた時 偶然 このお寺に居る人が そう

 

いうのが分かる人だと噂を耳にして……お願いし

 

ます。彼等の話を聞いて下さい。」

 

青年は 抱え込んでいた思いを一気に吐き出す様に言うと真っ直ぐ 私を見て来ました。

 

それで 私も口を開きました。

 

私 「貴方が此処へ来たという事は もう察しているという事ですね?」

 

青年 「はい。」

 

私 「解りました。では 彼等に話を聞いてみます。」

 

私は 彼等に向き合いました。

 

私 「何か言いたい事があるから 彼( 青年 )を此処へ導いたのでしょう?」

 

親友 「はい……彼が言っていた通り僕等は駆け落

 

ちをしました。最初の方は少し苦労しましたが

 

地元を離れて暫くは順調に彼女と生活をしてい

 

ました。ある日 彼女が妊娠している事がわかり

 

僕達は とても喜びました。彼女が 両親にも伝え

 

たいと言い 電話で妊娠を告げると 彼女の両親も

 

とても喜んでいました。暫くすると 悪阻が来て

 

それが他の人よりちょっと重くて 家に一人で残

 

して置くのを心配して 僕が 暫くの間 実家に帰

 

る事を彼女に提案しました。最初は嫌がっていま

 

したけど 僕が何かあったら心配だからと告げる

 

と彼女は 心配掛けたくないと実家に帰ると言っ

 

てくれました。その日は雨が降っていました。彼

 

女を最寄り駅まで送る途中で……。」

 

彼の言葉が終わるか 終わらないくらいの時に 彼女の鳴き声がいっそう激しくなりました。

 

親友 「僕はいいです。でも 彼女を探して下さい。そして ご両親の元に還してあげたいんです‼ 今は 一緒に居られていますが……実際は 僕の見える範囲に彼女の姿は見えませ……ん。 お願いです。彼女を探して下さい。お願いします。」

 

私は 青年の親友が言った事を 告げました。

青年は 握り拳を作り ご自身の太腿を何度も叩いて 泣いていました。

 

青年 「僕の前に現れた 二人がっ もしかしたらって……思ってて…でも……でも…心の何処かで 生きていて欲しいと……思っ…。そうですか…彼女 子供ができてたんですね……っとに 馬鹿野郎ですねアイツは…。」

 

私は そう話す青年の横で 何度も何度も謝っている 親友の姿を見ていました。

 

彼等が事故を起こし亡くなっている事は 分かりましたが……ニュース等では 視聴した記憶が無かったので まだ 発見されていないのだろうと考え 普段から余り 車の往来が少ない場所や山奥 崖や谷底などを上げて行き 一つ一つ確認して行くと 彼女の顔がある場所で視えたので そこから範囲を広げて行きました。

 

山手の方で 周りに民家は無く 車の往来も少ない ガードレールが無い所で すぐ脇は崖の様になっている。道幅は狭く 大型の車は通れそうもない様な道。杉の木が生えている。崖下にある車は 目視出来ないくらい 草で覆われている。

 

視えたままを青年に告げると 私が視た場所に思い当たる場所があると言いました。

 

それならと 翌日 探しに行きましょうと告げると 青年は分かりましたと答えたあと 「ありがとうございました。」と何度も何度も頭を下げ帰られました。

彼等には 残って貰っていたので 肉体を見付けるまでの道案内を頼みました。

 

彼女の方が かなり肉体を見付ける事に抵抗して嫌がっていました。

 

きっと 他人に見られたくない状態なのだろうと察しました。

ですが どんな状態であれ 肉体を見付け 荼毘に付し ご両親の元へ還してあげなければ成りませんので 彼女をその晩説得していました。

 

朝方が近くなって来た頃 彼女も漸く了承してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

青年の案内と 彼等の案内で 無事 車を発見する事が出来ました。

親友の方も彼女も見付ける事が出来ました。

 

今は 二人共 荼毘に付され 双方の家族で話し合い 二人は 同じお墓に入ったそうです。

 

 

そして その二人のお墓参りをした人達は 必ず 楽しげに笑う 親子の声を聴くらしいです。

最新情報をチェックしよう!

長編の最新記事8件

You cannot copy content of this page