鳥居の先に居る者

僕は最近同じ夢を見る。

真っ暗闇の中に鳥居が1つとその奥に続く一本道があるだけ。

僕はその鳥居に見入っていつも鳥居の奥に進む。

少し進むと明かりがぽつんと現れて8〜10歳くらいの女の子がいる。

その子の顔はいつも見えないが縄跳びをしている。

楽しいのか楽しくないのか顔が見えないからよく分からない

しかしどこかで会ったことがある気がしてならないのだ。

僕の夢はその子が縄跳びをしているのをひたすら見ているだけの夢だった。

そしていつの間にか朝になっており目を覚ます。

そんな日が1週間くらい続いたある日…。

【次のニュースです ○○県○○市の住宅で1人の女性が首を吊って亡くなっていました。身元は○○さん(24)だとわかりました】

「あぁ自殺か。」

この時は自分と同い年の女性がなにかの理由で自殺したんだろうくらいにしか思っておらずいつも通り会社に向かった。

その日の夜小学校以来の友達(A)から連絡があった

僕 「おーAか久しぶりだな!どうした?」

A「あぁ、そう言えばお前あのニュースみたか?」

僕「あのニュース?」

A「○○って女が自殺したってニュースだよ」

僕「あぁそう言えば同い年の人だったな見たよ。それがどうかしたか?」

A「お前さ○○って名前に聞き覚えないか?ほら、小学校の時の…」

僕「○○…。え、まさか?いやでも○○って名前珍しくないだろ?」

A「同姓同名で同い年。これはただの偶然か?」

そう言われると僕が知ってる○○なら…自殺してもおかしくないと思えたきた。

【話は遡り14年前】

先生「××小学校から転校してきた○○ちゃんです!じゃあ○○ちゃんみんなに挨拶してみようか!」

○○「……よろしくお願いします(小声)」

小学4年生の頃○○という女の子が転校してきた。その子は引っ込み思案なのか転校してきたばかりで緊張しているのか暗い子だった。

そのせいか○○はいつの間にか一部の女子からのイジメの対象になってしまっていた。

4年生が思いつくようなイジメではなくなかなかハードなものが多かった。

女子だけでなく男子からもイジメを受けるようになっていた。

僕は直接イジメに参加することは無かったが、いつも見て見ぬふりをしていた。

そう僕も加害者だ。

そして彼女は1年もしないうちに転校していった。

【現在】

僕「そうだみんなでイジメていた…。彼女はじゃあ大人になった今も違うところでイジメを受けていたのか?」

A「分からない…。だけどそう考えると繋がらないか…?」

僕「あぁ…悪い、今日はもう寝るよ明日も早いんだ。」

僕はそう言って友人との電話を無理やり終わらせて眠りについた

次の日…。

いつもと変わっていたことが一つだけあった。

【あの夢を見なかった。】

あの夢を見なかったから体が重くなった?それは考えすぎか。

僕は着替えて会社に向かった。

するとその日の昼電話が鳴った

僕「もしもし?」

警察「もしもし?僕さんですか?私□□署の者ですが」

僕「あ、はい…何か?」

警察「○○さんの件で一つ気になることがありまして。1度署の方までお越し頂けますか?」

僕「あ、はい分かりました…」

僕は何があったのかさっぱりだったのだがとりあえず警察署へ向かった。

警察「いや〜すいません。実は彼女の所持品の中で気になるものがありまして。」

と言って警察の人は一通の手紙を渡してきた。そこには驚くべきことが書かれていた

【僕くんへ。この手紙を君が読んでる頃には恐らく私は死んでいます。覚えてる?私が10歳の頃君の小学校へ転校したこと。私はとても人見知りで誰とも話すことが出来ずとうとうイジメられてしまった。

けど君だけは1度も私をイジメ無かった。僕くんは優しいからイジメなかったけど助けることも出来なかったから加害者だって言うと思うけど。私は僕くんにとっても助けられたよ。ねぇ覚えてる?

私たちがいつも一緒にいた神社。

私はイジメられて傷ついた心を学校の近くにあった廃れた神社…

と言っても鳥居しか無かったけど(笑)そこに行って癒してたの。そんな日を1ヶ月くらい続けてたある日君が神社の前にいる私の前に現れた。

すると君は私に縄跳びを差し出した。

俺にはこれくらいしかできない。

先生に相談したけど相手にしてくれなかった。だから俺がお前の傍にいて辛い気持ちを少しでも紛らわせてやりたい。

そう言って君は私に縄跳びを貸してくれた。私はそれが嬉しくて…先生に相談してくれていたこと。縄跳びを貸してくれたことそれから毎日君は放課後神社に来て私が縄跳びをするのを見ていてくれた。

お互い口べたでほとんど会話もしなかったけど僕くんが居てくれただけで幸せだったよ。

それで話は変わるんだけど…私転校したあともずっといじめられてたの。中学高校仕事先…でもね耐えることが出来たの。

何でだか分かる?君の縄跳びをずっと持っていたの。あの優しかった君のことを思って縄跳びをするだけでそれだけで耐えることが出来た。けど…もう限界がきちゃったや…

ごめんね君にこんな手紙書いちゃって。もう何年も会ってないのに。私の中の君はあの小学生の頃のままで止まってるけど今でもそのままの優しい君なのかな?

本当にありがとう。君がいたおかげでこの歳まで生きることが出来ました。】

………。

僕は言葉が出なかった。

今まで忘れていたんだ。彼女があの古い神社。鳥居の前で縄跳びをしているのを見ていた日々を…。

この手紙を読み終えて

あの夢の意味を理解した。

あの夢は彼女からの【SOS】だったのではないか…?

僕の中での彼女は10歳の頃の姿で止まっている。

だから夢の中で縄跳びをしていた女の子が彼女だったのではないか?

彼女が僕に助けを求めていたのではないか?そう思うと繋がっていく。

僕は自分に怒りを覚えた。

なんで彼女のことを忘れてしまっていたのか。もっと早く気づいて手を差し伸べていれば…

僕はその場にしゃがみ込んだ。

手紙を強く握りしめていた。

握りしめた手紙を広げ、ふと裏を向けると

【追伸:生意気かもしれないけど幸せになってください。】と書かれていた。

僕はこの文字を見て決心した。

彼女の分までと言うのは傲慢かもしれないが僕なりにこれから前を向いて生きていこうと。

【5年後】

僕は結婚して3歳の子どもがいる。

子「パパー!これからどこ行くの?」

僕「僕の大切なお友達のところに行くんだよ」

子「お友達?何しに行くの?」

僕「パパは今とっても幸せだよって言いに行くんだ」

そう今日は彼女の5回目の命日だ。

○○ちゃん僕は今とっても幸せです。

君のあの手紙の言葉に救われたよ。

本当にありがとう。

そう彼女に伝え息子の手を取り歩みを進めた。

おしまい

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