初めての金縛り

 

 

これは、10年近くも前の事だが、私の周りでは、ある一軒の廃屋にまつわる、実に恐ろしい噂がまことしやかに流れていた。ある日のこと。「俺さぁ、そうゆう所に行ったことがないんだよな。今度案内してくれよ」遊びに来ていた友人の柴山が、そんな事を言い出した。「何からこれから行ってみるか!」若い者が集まれば、自然と流れはそんなっていく。車二台に分乗し、郊外に立つ廃屋を目指して出発した。
一緒についてきた女性陣は、幽霊屋敷に踏み入れることを固くなにこばみ、結局、私と柴山の二人で入る事になった。その家には、何度か行ったことがあった私は、まるでガイルのように柴山を案内して家中を歩き回った。「まだ夕方だけどさ、なんかこう、言い知れぬ嫌な感じがあるな……」
霊感ゼロだと豪語する柴山でも、それ得有の気、は感じるらしい。
その場は何事もなく廃屋探訪をすませ、その後みんなで食事をして解散した。「なんだかすごく嫌………すごく嫌な感じがする
。」家に入っても膝を抱え、彼女は、1点を見つめたまま。「あたしには霊感なんかないと思う。でも何か嫌!すごく嫌」彼女が心配になり、私はそのまま泊まる事にした。終始「何かが嫌だ」と言っていた彼女だが、隣ですぅすぅと寝息を立てている。(もしかして、あの家の気を食らっちまったかなぁ………)ふと私がそんな事を思った時だった。「うっうっうっ……ギャーーーーッ」突然、彼女が叫び声をあげた。
「びっくりしたぁ!どーした?!」
ちょっと待って……お願い……明かり点けて!」枕元をまさぐり、読書灯のスイッチをひねる。「あたしね、あたし……生まれてこの肩、1度も「あれ」の経験がなかったの」「「あれ」って……なんだよ?」「金縛り?」「全然動けなくて、声も出せないんでしょ?」間違いない。それは、まさしく金縛りだ。しかし、そこから彼女が語り出した話は、ただの金縛りではない………そう感じずにはいられなかった。「目を閉じるとあの家が見えてくるの。あたしは近付きたくなんかないのに、どんどん玄関が間近に迫って来て………」「あはは、それは、悪魔でも夢だよ。人を嫌な事があると、それを夢で再現する事………」何とか彼女を安心させようとしたが、私の言葉など聞こえていないかのように、彼女は話を続けた。「玄関上がると左に階段、その手前には木のドアがあって、それを入ると左がトイレ、奥がお風呂場」(!)私は全身に鳥肌が立った。彼女は、1歩も足りとも廃屋には、入って

 

いないのだ。なおも続ける。「玄関右手には、やはり同じようなドアがあって、その向こうは茶の間になっている。その突き当たりに襖があって」「……もういい」「階段を上がると、部屋が三つ並んでて………」「もういいって言ってんだ!」私は思わず怒鳴り声をあげていた。
「その1番奥の奥に………」「よせっ!」
「女の人がぶら下がってんのよぉー!」
その日以外、彼女とは会わなくなった。
(怖い10来たら、また書きます!)

 

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