家族連れ

 

 

家族で旅行に行った時の話をします。
始めに言っておきますが、私の家族で霊感があるのは私と妹だけです。

その旅行中も高速道路の端っこに立つ男の人を見たり、嫌な雰囲気の車とすれ違う度に妹と「今の見た!?」とか、「アレやばいよね」とか話していました。

そして、あるパーキングエリアに立ち寄った時。

そのパーキングエリアにはなんでも揃っており、なかなか人も多かったです。

車から降り、トイレに向かった私はある家族連れとすれ違いました。

そしてその瞬間、説明がつかない恐怖に陥ってしまったのです。

(な、何!?)

驚いて振り返ると、その家族は普通の様子で歩いていきます。

霊にも波動があるらしく、波動の合う人じゃないとその霊を見ることはできませんが、その時、私には何も見えませんでした。

気のせいだったのでは、と言い聞かし、トイレを済ませて食堂に向かいました。
すると、席取りをしていた妹が、何故か入口にいます。

「ちょっと、席取りどうしたの?」
「あ、ちょ、お姉ちゃん…」

なにかに怯えたように周りを見渡しながら妹は私に近づいてきました。

「なに?」
「変な家族、いない?」

そう言われ、真っ先にさっきの家族が思い浮かびましたが、別に?と首を横に振りました。
言ってはいけない、聞いてはいけない、と脳が警告しているようでした。

「さっき、凄い家族見ちゃって…」
「どんな?」

しかし、私は生まれ持っていた好奇心には勝てず、そのまま妹の言っていた変な家族、の話を聞いてしまいました。

ちなみにこの時両親は、車にペットを置いてはいけない、と私達だけ先にご飯を食べることになっていたのです。

まず座ろうよ、と言い聞かせ、席につきました。

水を1口飲んだ妹は、こう話し始めました。

さっき、妹は席取りをしようと食堂を歩き回っていたらしいです。
すると、スッと横を家族連れが通り過ぎていきました。

通り過ぎていく時、背中に寒気が走り、鳥肌が立っていたらしいです。

妹は、その家族をぱっと見てしまいました。

そこには、家族の父親にすがりつく女が。

(うわ、やばいもん見ちゃった)くらいに思っていたら、その女がゆっくりと、本当にゆっくりと自分の方を見た、というのです。

その顔は真っ赤で、耳まで裂けた口が特徴的だった、と妹は言っていました。

そしてその女は、妹と目が合った瞬間、ニタァ…と気味の悪い笑みを浮かべた

 

らしいです。

そこで妹は怖くなり、私を探していたのだそうです。

そんなことがあったんだ、と妹の話に聞き入っていると、隣のテーブルがガタッと音を立てました。

隣を見ると、そこにはあの家族連れが。

私はさっきとは格段に違う寒気と吐き気、そして悪寒に襲われました。

妹は父親の肩を見て顔を青ざめさせています。

それとは打って変わって仲良さそうに話す家族。

私はどことなく父親が暗い雰囲気である、と思っただけですが、妹にはその女がはっきりと見えていたのです。

私たちはその場をすぐさま離れ、違うテーブルに移り、速急にご飯を食べました。

そして車に帰ると、丁度その時にあの家族連れも車に乗り込むところらしく、最悪なことに隣の車だったのです。

そしてそのパーキングエリアから出る、となった時。

うちの犬が、急に隣の車に向かって吠えだしたのです。

普段は吠えない犬なので、家族揃って驚きました。

そして、私と妹は見てしまいました。

その車の後部座席に座る、あの女を。

その女は私たちと目が合ったかと思うと、ニタァ…と気味の悪い笑みを浮かべました。

暫く動けなかった私達を不思議そうに見る両親。

そんなことはお構い無しに発進する隣の車。

それから暫くして私の家の車もパーキングエリアを出ました。

そして高速を走っていると、ナビが暫く先に事故がある、と言いました。

「事故ー?」「見えちゃったらどうしよう」とか話しながらその事故現場に差し掛かった時。
横で妹が「ぁ…」と小さく声を漏らしました。

それにつられて私も事故現場を見てしまいました。

そこには、ぺちゃんこに潰れたさっきの車と、倒れている人。
そして、怪しく笑う一人の女。

私たちの車はその現場を通り過ぎていきましたが、暫く喋れませんでした。

一体、あの家族の父親は、昔、何をしでかしてしまったんでしょうか…?
そして、あの家族は今も、生きているんでしょうか…?

 

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