怒るモノ ( 身代り )

 

 

ここで 少しだけ 憑いたモノの事を話します。

あの場所には 人が立ち入る事を嫌うモノが 森の中に 2m四方の草木が生えず 虫すらもいない 一見すれば直ぐに分かる所に 居ました。

いつから居るのかは 分かりません。
ただ あの場所へ 近付く人間を嫌う 忌むモノがいるので 封じていました。

その時も 忌むモノは 「帰れ」と言っていたはずですが 誰もその事を感じる事ができず そして 彼氏の友人さんが その場を 汚してしまいました。

4人いた中で 一番力の弱い 彼女に憑依してしまい 彼女の中で怒り狂っていたのです。

私と弘美の力だけでは 押さえ付けるのが やっとで 紫翠を呼んだのです。

紫翠 (♂)は 私よりも力があり 経験を積んでいてこういった 咄嗟にも対応出来るので 緊急の時は、いつも呼んでいました。
( 口が悪いのと 喧嘩っ早いのが…ダメダメですが…)

話に戻ります。

紫翠が来るまでの間 持ちこたえなければ 最悪 私も弘美も 持って逝かれてしまうので 辺りの空気は 張りつめていました。

私がそのモノを押さえ付ける事で 彼等 ( 彼女含め )に向けている 怒りを私達に 向けさせる為でした。

彼女は 意味が分からない言葉を吐き 甲高い声で嗤ったり 泣いたりを繰り返し 体力的に限界に近づいているのが 私に伝わって来ました。

一噌の事 今 私に移せばと 思った時でした。
弘美が 私の肩に手を置きました。
私が振り返ると 泣きすぎて目を真っ赤にした弘美が 強く頭を左右に振りました。

( ああ……そうか 私のせいで ごめんね 弘美。 )

弘美も力を持っていますが そこまで強くはありません。私と一緒にいる事で 弘美の力を引き上げてしまい。見なくてもいいモノが見えてしまっているのだと分かりました。

弘美の目は怯えてました。

一瞬たりとも 力を弱められない中 弘美の携帯が鳴りました。

弘美が携帯の画面を見て スピーカーにすると 紫翠からの電話で 此方が話すより先に怒鳴られました。

紫翠 「コラッ!紫雲!今 変なこと考えてたろ?! もう直ぐ着くから 妙な気起こすなよ?!」

それだけ 捲し立て電話は切れました。

私はハッ‼ として 気持ちを切り替える事が出来ました。
私も引かれていたのだと 気付く事が出来ました。

それから 5分くらいして バイクのエンジン音が近づいて来るのが聴こえました。

 

車場に乱暴に進入して来たかと思ったら
これまた 乱暴にバイクを停め ヘルメットを投げるように置くと ズカズカと歩き 彼等の元へ行きました。

弘美が察し 止めようとしましたが 間に合わず。

彼等に一喝した後 思いっきり殴りました。
紫翠の怒りも恐ろしいくらいになっていました。こうなると 解ってはいたのですが それでも力を借りなければ どうしようもありませんでした。

紫翠が 此方を向いて しゃがみ込み 彼女の額に手を置いてから 私の眉間に人差し指と中指をあて 息を吐き出す様に言いました。

紫翠 「ほんとに いいんだな?」

私 「うん。」

紫翠 「もし……失敗すれば 洒落になんねぇぞ?」

私は 軽く笑った。

弘美は 心配そうに私達を見ていた。

紫翠 「こういう事に お前も慣れて行かなきゃなんねぇけど ……優しさは隙を与えるぞ?今回限りにしろよ。」

私 「………………。」

紫翠 「次は無いからな !!」

紫翠の指が私の眉間から放れ 彼女の額からも放れて 印を組む。

そして……
私に 怒るモノを移した。

一気に流れ込んでくる 不快感。
私の感情すらも 吹き飛ぶぐらいの勢いで 身が押し潰されそうな怒りが強さを増して流れ込んでくる。
意識を保つのも赦されないくらいの 苦しさ…。

やがて 完全に私の中に入ったモノを逃がすまいと 私の中に封じ込める。

すると 私の意思とは関係なく 嗤いが込み上げてくる 嗤いたくないのに 笑っていた。
涙が溢れた。
耐えきれるのか?耐えきれないのか?
分からない……。

意識が飛びそうになるのを 押さえるのが精一杯な私 でも……やらなきゃ。

次は 封じになります。

 

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