水子供養

住職である父親から聞いた、父の実体験

この話は、最初に言うと心霊的な話しは一切ありません

ただまあ、私が今まで聞いてきた陳腐な怖い話なんかよりも、本当に実物がそこにあり、本当に寒気がした話しです

家の寺では水子供養をしていて、山門の前には沢山の全国からお願いを受けて供養された水子地蔵が数百近く並んでいます

泡子とも呼んだりするみたいですが一般的には水子と呼ばれ、産まれて間もない赤子にして亡くなった子供を供養する事を言います

父は家で一人で居たときに、ある夫婦がやって来て、「水子供養をお願いしたい」と行ってきたそうです

まだ20代前半くらいで若い真面目そうな夫婦だったそうで、父は詳しく話を聞くために客間に通して話を聞くと

夫婦の旦那さんが「家の子は可哀想に…赤子のまま」と寂しそうに、涙を浮かべながら語った

奥さんの方もぼろぼろと泣いていたみたいで、父は「産まれる前に奥さんのお腹の中で亡くなってしまったんだな…可哀想に…しっかり供養してあげなくては」と、直ぐに供養の準備に取りかかったそうです

準備が整い、夫婦を本堂に案内すると「家の子は春木(はるき)君と言う名前になる予定でした、なので読み込みで春木と供養して貰えたら」と、夫婦が言ったそうだ

父は「解りました」と、多分元気に産まれる子供の成長を願って付けたであろうその名前を読み込む事を承諾し

供養が始められた

それから程無くして無事に供養が終わり、父は二人に「これでお子さんは無事に供養されました」と伝えると、夫婦は泣きながら「ありがとうございます」と何度もお礼をした

二人はそのまま供養を終え、車で帰る事に、父は駐車場で二人を見送ろうとしていた

夫婦が見送る父に再び頭を下げて、「本当にお世話になりました」と丁寧にお礼を言う

父は「なんて誠実な夫婦なんだろうか」そう思ったそうです、そんな二人に父は

「これから春木君の名前が彫られた水子地蔵も造り供養しますので、お暇があるときにでも構いません、なるべく手を合わせに来てあげたらそれだけで最上な供養になります」と説明したら

「解りました、毎月この供養があった日と春木の命日には必ずお参りに来ます」

と二人はそのまま車に乗り込む、そして奥さんが助手席に座り、旦那さんが外からドアを閉めてあげようとしたとき

旦那さんが奥さんのお腹を撫でてて

「良かったね、春木君

これで君を安心して降ろせるね」

それを聞いて父は戦慄して言葉が出なかったそうだ

旦那さんも奥さんも、ニコニコとしていて、そのまま父に「ありがとうございました」と再びお礼をして車に乗り込みそのまま去ってしまった

普通、あり得ない話なのだ、これは

水子供養はやむを得ず流すしか方法が無かった子供や、お腹の中で亡くなってしまった子供、亡くなった子供を供養する為のものであって

まだお腹の中に居て、これから降ろす子供を降ろしても良いようにする為の法要では無いのだ

それでもあの誠実そうな夫婦、最初父は二人は子供を産まれる直前に亡くして供養のお願いに来たと思い込んでたが逆だったみたいだ

まだお腹に子供が居るのに、それを降ろすから水子供養に来たのだった

父は激しく戦慄して、酷い嫌悪感や寒気に包まれたそうだった

あの去り際の清々しいくらいの夫婦の笑顔、狂気に�

ち溢れているとしか言えなかったと、父は当時を語った

私もその話を聞いて酷い寒気や嫌悪感を覚えました

今でもその春木君の水子地蔵は山門前に供養されていますが、あの供養の日以来、あの夫婦は一度も来たことが無いと父は語る

その証拠に私もそれらしき夫婦は一度も見たこと無いし、その春木君の水子地蔵の回りだけ、他の水子地蔵とは違いお供えひとつありません

これは父から聞いた今から5年ほど前の話

幽霊や心霊的な話を期待してここまで見た人にはあまり面白くない話かもしれませんが…

私は多分今まで聞いたどんな怖い話より、一番恐ろしく一番寒気がする話です

その夫婦は今、どこで何をしてるのか

 

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