近所のラーメン屋さん

 

 

怖い話とはカテゴリーが違うかもしれません。

もう10年も前の事になりますが、ふと思い出したのでお話したいと思います。

私はいつも仕事の帰り際に、近所にあるラーメン屋に寄ってから帰っていました。

そのお店は、お婆さん一人で経営している小さなお店でした。

カウンター席が4つしかなく、畳5畳ほどの小さな小さなお店でした。

私はいつも醤油ラーメンを頼んでいるんですが、いつしか私のラーメンだけは特別一品多くタマゴが入っていたんです。

最初に気が付いた時、お婆さんに「タマゴひとつ多いよ」と言うとお婆さんは「いつも来てくれてるからねーあんたは特別だよ」と

なんだか周りのお客さんに悪いなとも思ったんですが、それでもお店で特別扱いを受けてる事に嬉しく思い、「ありがとう」と言うと、笑顔でただ頷いてくれました。

それからも毎日通い、お婆さんと談笑したり、仕事の愚痴を聞いてもらったりとラーメンを食べ終わってからもしばらく居続けた事もありました。

そんなある日、いつものようにお店にいくと、本日お休みの看板が見えたんです。

突然休みになることも時々あったので、今日はやってないのかと特に気にする事もなくその日は帰りました。

それからもお店に通いましたが、お休みの看板が無くなる事はありませんでした。

何かあったのかなと不安に思いながら、その日もお店に行きました。

すると、営業中の看板が見えたんです。

私は少し嬉しくなり、駆け足で「お婆さん心配したよ!」と勢いよくお店にはいると、そこには見知らぬ男性がいました。

誰?…と暫く硬直していると男性が「●●さんですかね?実は…ばあちゃんは2週間前に発作で亡くなったんです」と聞かされたんです。

男性はお婆さんの弟さんらしく、私の事を色々と聞いていたみたいでした。

お婆さんが亡くなった事を聞き、しばらく悲しい気持ちになりましたが、お婆さんは「あんたの笑顔みると、元気出てくるわ」と

生前言われていたことを思い出し、こういう時も笑顔でいないとなって思いながら、弟さんにいつも食べていた醤油ラーメンを頼みました。

弟さんは「ばあちゃんみたいに上手くはつくれんけど、この店は俺が次いでいくからまた良かったら来て欲しい」とそんな事を言いながら作ってくれていました。

そして出てきたラーメンには当然タマゴが1個だけで、それを見ると無性にお婆さんの事を思い出し、どうしても涙が抑えられなく

 

なりました。

涙を流しながらラーメンを啜っていると、突然弟さんが「うわっ」と何かに驚き、私の食べていた器に卵を入れてくれたんです。

私も驚いていると、弟さんが「ばあちゃんに怒られたんです…その人には2個いれるんよ!」と言われたらしいです。

それを聞くと涙が止まり、ふふっと笑えてきました。

すると「あんたは笑顔が1番」ってはっきり聞こえたんです。

それからも私はラーメン屋さんに通っていましたが、しばらくして弟さんも引退し、今ではもう見る事は出来ません。

今日はお婆さんの10回忌、醤油ラーメンを食べながら書き込みました。

 

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