くねくね   狂った兄

今年の8月中旬の話。

私は里帰りで両親と兄と妹と一緒に青森県に行ってきました。

実家は結構な田舎で見渡せば田んぼ、海、山ぐらいしかない所でした。

数日は自分で持ってきた暇つぶしグッズでどうにか持ちこたえてたんですけど流石に飽きてきて兄弟で一緒に実家の周りを探索する事にしました。

・・・40分ぐらい道なりに歩いては見たんですが道先を見てもただ田んぼが広がっているだけで何にも面白くない。

とりあえず引き返そうかと兄弟で話していました。

適当にぶらぶらしながら道を引き返していると農作業を終えたお爺さんがこっちによってきました。

わけのわからない私たちにお爺さんは真剣な顔で

「今日は来るからもう帰り(多分こんな意味訛ってて聞き取りにくかった)」

といってきました。来る?何が?わけのわからない私はお爺さんに

「何が来るんですか?」

と聞いてみると

「あんたら都会の方から来たね。あんたら見たいのが一番狙われやすいんだ」

的な事を言ってきました。

はぁ?見たいな気分でも話しろくに聞いてくれないので兄弟でぶつぶつ言いながら道を引き返していきました。

 

日も暮れてきて空は綺麗な茜色をしていました。

後10分程度で実家の方につくというときに妙な寒気を感じました。

それと同時に隣にいた兄の様子が妙な事になってきていました。

首だけ後ろを向いたまま足は前を進んでいたのですが、首がガクガクと揺れていて足取りも妙な感じです。

後ろにいた妹が兄の顔を見たのか

「・・・Y(兄の名前)?M(私の名前)!!Yがおかしいよ!!」

とりあえず妹を私の前にやって兄の様子を聞くと

「何処見てんのがわかんない!!黒目の位置が両目で違う!!」

妹もよっぽど怖いのかガクガク震えて泣いていました。

気をとられていろうちに寒気はいっそう近くに感じました。

私は決死の覚悟で後ろを振り向いてみると‥

 

目が悪いのではっきりとは見えなかったんですがなにか白い物体・・・人?両手を上に上げて

人間なら曲がるはずの無い部分までグネグネと動かしながら歩いてるわけではないのに多分こっちに近づいていました。

遠近感がうまくとれずどの程度後ろにいるのかは分からなかったんですが、とりあえずそのとき無茶苦茶になった頭の中で分かった事は、アレはヤバイってこととアレはこっちに近づいてきてるってことでした。

横に目をやると兄の横顔が見えました。

目は何処を見てるか分からないし口は全開で涎をダラダラ流しながら何かをブツブツ言っていました。

とりあえずまだアレを見ていない妹に

「Yは私がどうにかするから振り向かないで走って家に先に帰ってて!!」

妹は

「後ろに何がいるの?Yは?!」

とりあえず私が無事だったのは目が悪かったせいだと思いますが他の二人は普通に目がいいので妹も後ろを見ればきっと兄の二の舞になると思いました。

 

「いいから!!絶対振り向いちゃ駄目だよ!!先に言って母達にこのことを伝えて!!」

よっぽど必死な顔をしてたのか分からないけど妹は頷きもせずに猛ダッシュで私から遠ざかっていきました。

私は兄の腕を掴むととりあえず出来る限りの速さで走りました。

無我夢中で後ろからの寒気はどんどん近づいています。

あと数百メートルで家だというとき兄は狂ったように暴れながら私の腕を振り解いて後ろ走りのまま私を追い抜いて家の方へ向かっていきました。

1人になって物凄い恐怖を感じてそれでも我武者羅に家に向かって走っていきました。

振り向いてはいないけどもうアレはもう私の10数メートル後ろに近づいてきていたような気がします。

目の前に家が見えてきました。

兄の姿は無かったけどドアが開いていたのでとりあえず駆け込んで前を見ないように急いでドアを閉めて鍵をかけました。

息切れして玄関に座り込んで安堵している私の呼吸は止まりそうになりました。

ドアを挟んだ外からはまだアレの気配がするのです。

とても近くにいてもうだめだそう思ったときに母がやってきて放心状態の私の手を掴んで居間の方に運びました

 

「M?M!?平気?大丈夫か?!」

両親と親戚の声がしました。

うつろな目でみんなの顔を見ていると・・・・兄の姿はありませんでした。

息切れして汗びっしょりになりながら

「ねぇ・・・Y・・は?」

一瞬間があいてから私はそれでも周りに尋ねました。

「ねぇ私より・・先に・・走っていったんだけど・・Yは?」

両親は多分泣いていました。親戚達は一呼吸おいてから

「もう少し夜がふけたら探しに行くからMは心配しないで休んでな」

といっていました。手を引っ張られながら布団の引いてある部屋に行くと妹が横で寝ていました。

となりには兄の分であろう布団も引いてありました。

兄は・・?考えたくても意識は薄れていってしまって、気がつくと朝になっていました。

 

それでもまだ兄の姿はありませんでした。

妹はまだ横で寝ています。

親戚はいなくて母だけが今でポツンとしていました。

「母・・Yは?」

母は振り向かないで

「見つかったよ。今病院に連れてってる」

兄はある山のふもとに倒れていたそうです。

そこの山からここまでは結構な距離があるのですが近所に人が見つけたそうです。

兄は精神不安定という事で数週間青森の方の病院にお世話になりました。

私はお見舞いに行かせてもらえなかったのですが数日は あの狂った状態でそのあと数日は寝込んでしまいそして精神は安定しました。

そして土曜日に帰ってきましたがあの時の事は一切覚えていないそうです。

アレについて母に聞いても親戚に聞いても誰も教えてくれませんでした。

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