パキン
という音が響いた。
家鳴りだ。
俺は身を硬くする。
天井のあたりを恐々見上げるが、平屋独特の暗く広い空間と梁があるだけだ。
ミシ・・・・・・ミシ・・・・・・
という木材が軋む音が聞こえてくる。
実家にいたころはよく鳴っていたが、今のアパートに越してからは素材が違うせいかほとんど聞くことはなかった音だ。
まるで、柱時計が本来の時間と交差するのを待っていたかのように、家鳴りは続いた。
夜明けを待たずに、俺たちはその家を出た。
結局、師匠の秘蔵品は拝まなかった。とてもその勇気はなかった。いいです、と